昇格が決まったらどうするか
イメージしてください。
ファジアーノは地域決勝の予選ラウンドを見事勝ち抜き、ついに決勝ラウンドへ駒を進めました。
そして決勝ラウンドの3戦目。この試合に勝てば、ファジアーノのJFL昇格が決定するというシチュエーションです。
時間はすでに後半のロスタイム。
スコアは1-0でファジアーノがリード。
相手チームは、なんとか1点を取り返そうとして、死にものぐるいの攻撃を繰り返してきます。
ファジアーノの守備陣はそれをなんとか凌いでいますが、今は相手のペースになっている時間帯。いつひっくりかえってもおかしくない状況です。
あまりの死闘に足がつって、ピッチ上で動けなくなっている選手も何人かいます。いったい何人の選手が動けているのか分からないような混戦の模様です。
ディフェンスラインの伊藤が大声をあげて仲間たちを鼓舞します。
主将の周剛は、なんとかボールをキープしようとしています。
あなたを含むサポーターたちも、選手に最後の力を与えるため、声を枯らして叫んでいます。
そして、主審が笛に手をかけました。
三度鳴る長い笛の音。
試合終了。
ファジアーノ岡山FC、全国地域リーグ決勝大会「優勝」。
JFL昇格決定。
さてそのとき、あなたは笑いますか?
それとも泣きますか?
ちょっと、想像してみてください。
………。
私はこんなことを考えてみました。
JFL昇格の時に笑えた人は、「日本サッカー界で最も狭き門」と言われる地域決勝の勝利を、クラブとともに喜びあえた人です。
その喜びは、これから続くクラブの長い歴史の中の1ページとして刻まれるし、あなたの人生の中の1ページにも刻まれるでしょう。
そういう人は、JFLの次の舞台である「J」にファジアーノが昇格したとき、きっと泣くでしょう。
なぜならあなたは、これからさらに続く長い道のり、楽しいことばかりじゃなく苦しいこともたくさんある長い道のりを共に歩んでいくからです。
一方、JFL昇格の時に泣けた人は、ファジアーノのことがいつのまにか大好きになっていた人だと思います。
たかがサッカーチームの応援のために自分が泣けるなんて思わなかったのに、私ってこんなにファジアーノのことが好きだったんだ。なんて思うかもしれません。
そういう人は、「J」に昇格したとき、きっと笑えると思います。
だって、大好きなクラブとともにJに辿り着くことができたんです。
地域リーグの時代のファジアーノを知るあなたにとって、Jに昇格したときの感動はとても大きなものだと思います。
それは、地域リーグ時代のファジアーノを知っている人の、ちょっとした特典みたいなものです。
あんな時代から応援していて良かったな、とあなたが思えますように。