今の時代のファジアーノを知る人へ

昨年、大分での地域決勝で、大分トリニータのサポーターの方と話をしました。
トリニータもファジアーノと同じように、地域リーグ→地域決勝→JFL→J2→J1というステップを踏んでいきました。
トリニータは今やJリーグのクラブですから、サポーターの数もファジアーノよりたくさんいます。
しかし、彼らも地域リーグの時代には、ファジアーノと同じように少ないサポーターたちが、力や知恵を出し合ってクラブを支えていたそうです。
「サポーターの数がなかなか増えないとか、そういう悩みがあるでしょう。僕らにもそういう時代がありました。スタジアムの観客が一体になって応援してもらうにはどうしたらいいかとかよく考えました」と、我々と同じようなことを言っていました。
「地域リーグからJFLに上がるときが一番しんどかった。J2からJ1に上がるときよりも。」と彼は言いました。
「いつ頃から応援しているんですか?」と聞くと、「地域リーグの頃から。今、トリニータのサポーターの中で中心的に活動している人も、多くはそういう時代からサポーターをしている人たちです」と彼は言いました。
「まあ、ファジアーノさんも今はしんどいだろうけど、段々Jに近づいていくにつれてサポーターの数も増えていきますよ。」
「でも、」と彼は言いました。
「サポーターはこれから増えていくだろうけど、そうやって増えていった仲間の中心に立ってまわりを引っ張っていくのは、地域リーグの時代などから支えているサポーターたちですよ。」と彼は言いました。
「まだ先は長いけど、がんばってください。今回の大会で、ファジアーノの応援が一番かっこよかった。」と言ってもらいました。
たぶん彼の言う通り、ファジアーノのまわりには、これからたくさん人が増えていきます。
最初はなかなか声を出すのが恥ずかしい人や、応援コールの仕方がわからない人も出てきます。
そういう人たちの先に立ってクラブを活性化させていけるのは、今の時代のファジアーノを知る人たちです。
また、これから先には、チームが連敗することもあるでしょう。
勝ち続けるクラブというのはあり得ないのが事実です。
そんなときに、サポーターの中心になってクラブを支えていけるのも、今の時代からファジアーノを知る人たちです。
Jリーグのお荷物クラブと言われたり、J2に降格しても、絶対にクラブを見捨てなかったサポーターがいたから、浦和の街はレッズを中心に活気づく街になったのだと思います。
これから先、カテゴリーが上がってJに近くなると、ファジアーノのファッション性はどんどん高くなっていき、クラブの表面的な部分だけが目立ってくるでしょう。
すると中には、ファジアーノのことを誤解して攻撃する人や、クラブの名前を汚すようなことをする人も出てくるかもしれません。
どうか、そういう人たちから、このクラブのことを守ってあげてください。
今の時代のファジアーノを知る人は、このクラブが人と人との関わり合いから成り立っているクラブであるという、奥底の部分を知っているはずです。
そのことを、あとの時代の人に伝えてあげてください。
「文化(culture)」を辞書で調べると、「社会を構成する人々によって習得・共有・伝達される行動様式ないし生活様式の総体。(goo 辞書より引用)」と出てきます。
ファジアーノという存在がこの街の文化となるためには、ファジアーノのことを人々に伝えていかなければならないのです。
何対何で勝った負けたということは、とても表面的なことです。
あなたにも、このクラブから学びとったことがあるはずです。
「ファジアーノを応援していて一番良かったことは、友達がたくさん出来たこと」と言ったサポーターが何人もいました。
そういう、このクラブの生身の部分、私たちがこのクラブから感じ取った、人として大切なものを伝えていってください。
ファジアーノの未来は、「誰か」が作ってくれるものではありません。
私たちや、私たちの子どもが作っていくものです。
「パーソナルコンピュータ」という概念を最初に作ったアラン・ケイという人がこんなことを言いました。
「未来を予測する最善の方法は、自らそれを創りだすことである。」

2007年11月18日 23:54 » ブログ